パパの関わり方 仕事の場面に置き換えて 5/25

 どう子どもに接したらいいのか自信が持てず、ついママに任せがちなパパは少なくないでしょう。子どもと過ごす時間が少ないのも悩み。そんなお父さんにできる関わり方とは? 2人のパパに聞きました。

 「あなたの理想のパパは誰ですか?」

 神奈川県逗子市で17日あった市主催のパパスクール。講師の会社員内山恵介さん(43)が冒頭、そう問いかけると、多くの参加者が思案顔になった。「そう、あまり考えたことがないと思います。パパ業にはロールモデルがないんです」

 内山さんは、元損保会社の人事マン。社内ベンチャーに手を挙げて保育園を立ち上げ、園長を務めた経験がある。私生活では、大学生の長男と高校生の長女の父親だ。子どもとの接し方がいま一つわからない新米パパらに、仕事になぞらえながら子育てのアドバイスをしている。

 例えば、ほめ方のコツは、成果ではなく行動をほめること。「営業成績が良い部下を『この数字、よくやった』とほめてばかりいると、悪い時は報告しにくくなる。過程や頑張りを認めてあげれば、自己肯定感が高まるものです」

 このほかにも、「指示(伝えたいこと)は具体的に」「脅し文句は逆効果」「言い分を受け止めてから対案を」など、仕事の場面に置き換えた助言が様々ある。講座に参加するパパたちには「わかりやすい」と好評だ。内山さんは「人と人の関係の基本的な部分は一緒。父親は、言葉数が少なすぎるダメ上司型ではなく、コミュニケーション上手にならなければ」と話す。

 ■忙しい日も「濃い3分」

 働く父親の多くが抱える悩みは、子どもとふれあう時間の少なさだ。限られた時間の中で、どうすればいいのか。

 小学生の子ども2人がいる育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささん(40)は、「忙しくて接する時間が短いからこそ、子どもの意外な一面に気付ける面もある。パパは量より質で関わって」と話す。

 平日は3分間だけでも子どもと過ごすようにしてみては、というのがおおたさんの提案だ。絵本の読み聞かせでも、ワンフレーズの言葉がけでもいい。父親と過ごした時間が印象に残るようふれあうのがコツだという=図。

 ママがお世話のプロの場合は、パパは遊びのプロたれ、とも言う。

 「遊びは自発性と想像力を磨くのにいい機会。休日は、ママ抜きで積極的に出かけてみましょう」

 どうしても時間がないときでも、工夫はできる。

 交換日記をしたり、部屋の中に一言メッセージを隠しておいて「お宝」探しを楽しませたりして、意識的に子どもと関わる場面を作るといいという。

 「ママの目にはおいしいとこ取りに映るかもしれない。パパは、ちょっとだけしか関わっていないという自覚を忘れてはダメ。1日1回、ママの苦労にも思いをはせましょう」

 (兼田徳幸)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11154195.html