自転車に乗りたい ペダル外しバランス磨く 8/3

自転車に乗れるようになる3ステップ

 自転車の補助輪をなかなか外せずに、しょんぼりしている子どもはいませんか? 「何でできないの」などと責めてはいけません。苦手な子が集まる教室で、とっておきの練習法を聞きました。

 堺市大仙公園で開かれている無料の自転車教室は、2カ月先まで予約が埋まっている。園内にある自転車博物館サイクルセンターが主催し、市内の自転車部品メーカー「シマノ」のOBらが指導する。

 6月の週末、約30人の子どもたちが集まり、「自転車と仲良しになろうね」という指導員の声かけで教室が始まった。

 特徴は、ペダルを外して練習する点だ。指導員の徳田勇さん(67)は「この方が自転車に早く慣れ、バランス感覚を身につけやすいのです」と説明する。

 まずペダルを外した自転車を押して歩く。次に自転車にまたがり、両足で同時に地面をけりながら、緩やかな坂道を何度も下る。慣れると、足を上げていられる距離が長くなる。

 指導員らは大声で、「今のはよかった」「この調子」と拍手しながら子どもたちをほめ続けた。時折、「ゆっくりすぎると転びやすいから、もうちょっとスピードを出そう」「下を見ずに、前を見て進もう」などと助言していた。

 徳田さんによると、この方法でバランス感覚が身についたら、「乗れたも同然」。自転車にペダルをつけ、こいで進む練習をする。3時間後には、ほとんどの子どもが、ペダルをこぐ練習に移っていた。

 大阪市内の小学2年生、馬石菜央ちゃん(7)は教室を嫌がり、泣きながら参加した。誕生日に自転車を買ってもらい、練習で手応えをつかみかけていたが、冬場に中断したら全く乗れなくなってしまった。「自転車を怖がるようになった」と母親の典子さん(40)。

 この日、乗り方をマスターした菜央ちゃんは、「友達と自転車で遊びにいきたい」と笑顔で話した。

 ■ブレーキ練習も大切

 家庭で教える時は、どんな点に注意したらいいのか。サイクルセンター事務局長の長谷部雅幸さん(63)にコツを聞いた。

 バランスがとれるようになるには、「まずは公園などの広場でまっすぐ前を向き、地面を両足で5回蹴って足を上げる。少しずつ、足を上げたままでいられる距離を伸ばしてください」。最初のうちは大人が子どもの肩や腰、自転車の荷台やサドル後部などを持って支えるといいという。

 また、ブレーキをかける練習も、安全上、重要だと長谷部さんは言う。「足で止めるのではなくブレーキで止める」ことが身につけば、自転車を自分でコントロールでき、止まらない怖さがなくなる。

 練習する時の服装は、けがをしにくいよう長袖と長ズボンで。夏場は通気性のいい素材を選ぶ。ヘルメットと手袋も身につけよう。

 自転車ジャーナリストの遠藤まさ子さんによると、教える側のお助けグッズになりそうなのは手押し棒。後輪の軸に固定する。腰をかがめずに楽な姿勢で走行を補助できる。「疲れにくく、長く練習につきあえるので上達しやすい」。2千円前後で購入できる。

 また、ペダルを外して練習したい場合は、街の自転車店に相談すると、取り外しや取り付けをしてもらえるという。

 「とにかく焦らず根気よく、怒らないことが大切です。励ましたり褒めたりして楽しく練習してください」と長谷部さん。それでも乗れない時は、教室に足を運ぶようすすめる。

 堺市の教室への問い合わせは(072・243・3196)へ。財団法人日本サイクリング協会(03・5793・3190)が運営する東京都新宿区の神宮外苑サイクリングコースや、財団法人自転車センターが運営する大阪府河内長野市の関西サイクルスポーツセンター(0721・54・3101)なども教室を開いている。

 (北村有樹子)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11280867.html