子どものお風呂 目離さず、一緒に遊ぼう 2014/11/30

 赤ちゃんが生後1カ月を過ぎるといよいよお風呂デビュー。子どもとスキンシップができる絶好の機会ですが、動き回る赤ちゃんとの入浴に不安を感じる親もいます。上手にお風呂に入るには、どうしたらいいのでしょうか。

 首都圏で親子カフェを展開する会社「スキップキッズ」が今月上旬、東京都内で妊婦や乳幼児の親に子どものお風呂の入れ方を教える「はじめてのお風呂セミナー」を開いた。参加した伊藤久美子さん(32)は長男の豪志ちゃん(1)との入浴を振り返り、「ひざの上に子どもを乗せて洗うとき、せっけんで滑ってひやっとしたことがある」と話す。

 同社が0〜3歳の乳幼児の母親402人を対象にした調査では、約半数が「子どもとの入浴に不安や疑問がある」と回答。お風呂の入れ方や注意点を教わったことがない人も約6割にのぼり、「1人で子どもを入れるのが怖い」などの声が寄せられた。

 ■滑らないように

 お風呂ではせっけんを使うので、裸の赤ちゃんは滑りやすい。セミナーで講師を務めた助産師の小野貴代さんによると、赤ちゃんを抱っこするときは大判のガーゼでくるんだり、親のひざの上に乗せるときはタオルをしいたりすると滑りにくくなる。

 頭を洗うときの注意点は? 触るとやわらかいので力加減に悩むが、小野さんは「頭は皮脂や汗で湿疹ができやすい。やさしくなでるだけではダメ」。ベビー用シャンプーを泡立て、首の後ろをしっかりと支えて、指の腹でマッサージするような感覚で洗う。

 洗うときに耳に水が入ってしまったら、目に見える範囲をティッシュで拭き取る。綿棒で耳の奥まで拭こうとするとかえって危ない。「おりつこどもクリニック」(東京都)の折津友隆院長は「水は自然に蒸発するので、気にしすぎなくていい」と話す。

 子どもを浴槽に入れる間は絶対に目を離さないこと。東京消防庁によると、昨年水に溺れて救急搬送された0〜5歳の子ども46人のうち40人が浴槽で溺れた。浮き具を使って9カ月の男児を浴槽に浮かべ、着替えを取りに行っている間に溺れた▽親が髪の毛を洗っている間に2歳の男児が浴槽に沈んでいた、などのケースがあり、同庁は「わずかな時間に事故が起こるので注意してほしい」としている。

 ■生活力を育てる

 一方、子どもに自我が芽生える頃から悩まされるのがお風呂嫌い。保育・育児アドバイザーの松原美里さんは「子どもは先の見通しを持ちにくく、今夢中になっている遊びを止めてまで入浴するのを嫌がりがち。その気にさせるポイントは『お風呂=快』という意識をすり込むこと」と話す。効果的なのは、子どもの遊び心をくすぐる作戦だ。

 まずは「この間、水鉄砲で遊んで楽しかったよね。また一緒に遊ぼう」などと声をかけ、お風呂も楽しそうだと思わせる。子どもの気をひいてから「きょうはいっぱい汗をかいたね。そのままにしておいたら臭くなっちゃうよ」と説明。子どもが納得してお風呂に入るように促す。

 入浴後に「きょうも楽しかったね。また一緒に入ろう」と声をかけると、楽しかった感覚が強まり、翌日以降も誘いやすい。松原さんは「色々な手を使って自らお風呂に入るように導いてあげることが、長い目で見れば子どもの生活力を育てることにもつながる」と話した。(伊藤舞虹)

引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11482720.html