子どものお片付け 物を減らし「定位置」作り11/02

 「叱っても、片付けてくれない」「子ども部屋が片付いたためしがない」。そんな悩みを持つ親も少なくないのでは。子どものお片付けのためのルール作りや実践のコツを専門家に聞きました。

 「毎日、片付けなさいって言うのも疲れます」

 東京都江東区に住む会社員の女性(41)は話す。小学2年生の娘には「自分の部屋」があるが、常に散らかりっぱなしだ。学用品も、学校に置いてきたのか、家に持ち帰ったのかわからず、そのままなくすことも。見かねて片付けることもしばしばだという。

 「子どもに代わって片付けるのが親の役割ではありません。片付け嫌いでも、片付けしやすい仕組みを作ることが役割です」。「子どものお片づけ」の著書がある、橋口真樹子さんはそう話す。

 ■「使ってる?」

 持ち物が多いほど、片付けは難しい。まず、子ども自身で管理できるよう、量を減らす。成長に伴って不要になった物がないか見直してみる。

 「実は子どもの物を増やしているのは買い与える親なんです。新たに物を増やさないようにすることも大切です」

 子どもに「捨てていい?」と聞くと、「ダメ」といわれがちだ。処分する時は「使っているかどうか」を基準に子どもに尋ねてみるのも手だ。

 片付けの基本は、物を決めた場所に戻すこと。「片付けの仕組み作りのポイントは、物の『定位置』をどう決めるかにあります」と橋口さん。

 例えば「おもちゃは子ども部屋」と決めてしまうと、うまくいかないこともある。おもちゃをリビングに持ってきて遊ぶ子だと、戻すのがおっくうになり、結局、だしっぱなしになりかねない。橋口さんは「よく使うおもちゃだけは、リビングに収納スペースを確保してあげると、ぐっと片付けやすくなります」。

 橋口さんは、テレビボードの引き出しの一つをおもちゃ箱代わりにしている。リビングで宿題をするなら、教科書やノートだけでも、リビングに収納場所を作ってもよい。

 ■子ども目線で

 大切なのは、「子ども目線での片付けやすさ」だ。収納場所は子どもの手が届きやすいか? 洋服をたたむのが性格的に苦手な子に、きっちりたたむことを求めすぎていないか? 「親のレベルではなく、子どものレベルや性格も考えましょう」

 一方、整理収納アドバイザーの園田智恵さんは、親が片付け方を教えることが大切だという。

 小学生の親向けの片付け講座を開いた経験から、「就学前の子には『一つの箱に入れればいい』と教えている親が多い」と話す。これでは、小学生になった時、おもちゃはこの箱、勉強道具は机、ランドセルは棚に、と分けて片付けられるようにはならないという。

 「片付けといえば、どこかに突っ込むことだと思っている子もいる。それは、物を『分ける』ということを教えていないからです。分けることに慣れるまで、親が一緒に片付けてください」

 幼児でも、こうした一歩進んだ片付けの習慣を身につけることはできる。例えば、文字がわからなくても、箱に絵やイラストをはれば、おもちゃを分類して片付けられるようになるという。

 ■分類ルール決め収納

 ちょっとした工夫もある。例えば、勉強机。橋口さんは「勉強道具と遊びの物が入りまじっていることが多い。まずは、衣類と同じように分類から始めては」と話す。例えば、(1)教科書やノートなど学校で使う物(2)塾やお稽古ごとなど学校以外の勉強で使う物(3)シール類やカードやお菓子のおまけのフィギュアなどその他――に分ける。

 その上で、(1)を優先してしまっていく。一番よく使う教科書や参考書、プリントなどの紙類は、手が届きやすい机の上の棚に。文房具などは、上の引き出しから入れていく。足元にキャスター付きワゴンを置き、書道セットなどの学用品を入れたり、学校でつくった工作を一時的に保管したりする場所にしてもよい。使用済みのノートや教科書などは処分するか、机の深い引き出しや机以外の収納場所に入れる。

 (2)は量が多いので、机以外の収納場所に移動したほうが分かりやすい。(3)は量が少なければ、勉強机の引き出しにしまってもよい。ただし、こうした子どもの「宝物」は勉強中は使わない引き出しに入れたほうがよい。

 頭を悩ますのが、学校から持ち帰ってくる工作や絵。限られたスペースで、ずっと保管するのは難しい。

 園田さんが提案するのは、リビングや玄関など、家族の目につく場所に、ちょっとした「展示コーナー」を作ることだ。子どもにがんばった作品を選ばせ、一定期間、飾る。時期が来たら、子どもに確認して処分する。園田さんは「飾ってほめることで、子どもも満たされた気持ちになり、手放しやすくなります」と話す。

 (立松真文)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11434573.html