靴選び、初めの一歩 かかとやサイズ意識して10/26

 よちよち歩きの子どものために人生初の靴選び。かわいらしさに目が行きがちですが、足の健康にかかわるため、機能性もよく考えて選ぶことが大切です。初めての靴選びのポイントを専門家に聞きました。

 子どもが歩き出すのは一般的に1歳前後から。

 「何にもつかまらずに3メートルくらい歩けるようになったら靴の選び時」と、NPO法人「WISH」(愛知県知多市)の永井恵子理事長は言う。WISHには靴店で働く永井さんのほか、医師や看護師もおり、子どもの足や靴についての正しい知識を講演会などで話している。

 ■足の形にも影響

 永井さんいわく「まず気をつけてほしいのはかかと」。靴のかかとを囲う部分に芯が入っていて、かかとが傾かないようしっかり支えられていることが大切だ。

 高田馬場病院(東京都豊島区)で足の専門外来を開く日本靴医学会理事の町田英一医師によると、子どもの骨は大人に比べてやわらかく変形しやすい。かかとを靴でサポートしないと、立って歩いた時に自分の体重を支えきれず、かかとの骨が内側に傾く外反扁平(がいはんへんぺい)足などの原因になってしまうという。「放っておくと痛みが出たり、歩くのに支障が出たりします」

 サイズも大切だ。小さすぎると指が曲がってしまうし、大きすぎると足が安定せず危険。試着のとき、かかとを後ろにつけた状態で「つま先と靴の先端の間に5ミリ程度の余裕があるといい」(町田さん)。5本の指が靴の中で圧迫されず、自由に動かせるのが望ましい。つま先を先に合わせてしまってはダメ。指が曲がり正しいサイズが測れない。

 メーカーや種類によって、サイズが1センチ刻みの靴と5ミリ刻みの靴がある。できれば5ミリ刻みで子どもの足にもっとも合うものを選びたい。

 足と靴がフィットしていないと、正しい歩き方も身につかない。ひもや面ファスナーがついていれば、甲の部分に多少ゆとりがあっても締められる。また歩きやすいように底は適度にクッション性があり、滑りにくいのがいい。

 靴を慣れさせるために室内などで履かせる柔らかいつくりの靴もあるが、子どもが自力で歩く頃には、かかとやサイズをしっかり意識したほうがいいだろう。

 ■成長の早さ注意

 子どもの足の成長は早く、初めての靴は3〜4カ月で小さくなることもある。そのため、足が窮屈になっていないか親がこまめに確かめよう。歩いてすぐにおんぶやだっこをねだる子は、靴が合っていない可能性もある。町田さんは「子どもはなかなか『痛い』と言葉に出さない。親が気づいてあげなければ」。

 最後にお下がり。他人が履いていた靴は形にくせがつき、もらって履いた子の本来の成長を妨げる可能性がある。かかとの底も減っていることが多い。

 アディダスジャパンが2011年に実施したアンケートでは、未就学児の親770人のうち、子どもの正しい靴選びを「理解している」と答えたのは約33%だった。

 WISHの永井さんは「靴を替えて、足や体の不調が改善した子もいる。もっと靴に関心をもってほしいです」

 (坂井浩和)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11422256.html