子どものおねしょ ためる力、あせらず育んで 9/28

 子どもがおねしょで布団をぬらしてしまって、ため息をついたり、つい怒ってしまったり、といった経験はありませんか。子どものおねしょは、なぜ起きるのでしょうか。どんな場合に、お医者さんに診てもらうといいのでしょうか。専門家に聞きました。

 寝ている間につくられる尿の量と、尿をためる膀胱(ぼうこう)の大きさ。このバランスがとれないために、膀胱から尿があふれ出てしまうのが幼児期のおねしょの原因とされる。

 子どもは成長するにつれて膀胱の容量が大きくなり、ためられる尿の量も増えていく。また、眠っている間に脳から出る「抗利尿ホルモン」が増え、夜間の尿の量も抑えられるようになる。

 こうして2、3歳ごろから、おねしょの回数は自然と減っていく。

 「5、6歳を過ぎておねしょが続く場合は、こうした生理的メカニズムが、完全には整っていないことを意味します。これを『夜尿症(やにょうしょう)』と呼んでいます」。夜尿症の専門外来がある世田谷子どもクリニック(東京都)の帆足英一名誉院長は、そう話す。

 「小学校に上がっても、月の半分くらいおねしょするようであれば、治療で早めに自立させてあげる方がよいでしょう」と帆足さん。同クリニックでは、水分コントロールなど生活習慣の改善指導をしたうえで、ホルモンを補う薬を飲んだり、おねしょしたら鳴るアラームをパンツにつけたりする治療法を組み合わせていくという。

 日常生活でできることはどんなことだろうか。

 まずは水分摂取のタイミングをコントロールする。朝と昼に少し多めにとって、夕方からは控えめにする。夕食はできれば就寝の2〜3時間前に済ませておくといい。子どもが寝る前にのどの渇きを訴えたら、氷を1、2個与えてもよい。

 抗利尿ホルモンは、夜にぐっすりと眠ることで分泌されるので、トイレに行かせようとして、夜間に起こすのは避けた方がよいという。

 幼児期、日常的にトイレを促し過ぎるのもよくない。尿がたまる前に「おしっこは?」などと聞き、しょっちゅうトイレに行くよう促していると、ためる力がつかないためだ。

 帆足さんは「親が子どものおねしょを責めないことも大切です。あせらずに支えてあげてください」と助言する。

 小学校に入ってからおねしょが続くと、子どもにとって心理的な負担になるという指摘もある。

 夜尿症の子どものカウンセリングに携わってきた東京成徳大学大学院の田村節子教授(学校心理学)は、「おねしょが続くと、子どもは自分自身の体をコントロールできないと思うようになり、自尊心が低下してしまいがちです」と説明する。

 その結果、学校の勉強に身が入らなくなったり、友だちと対等になれず畏縮(いしゅく)した態度をとるようになったり、といった影響が出ることがある。また、親が「自分のしつけのせい」と自身を責めてしまうケースも多いという。

 田村教授は、「学校生活の質の低下につながったり、親子で抱え込んで悩んだりする前に、早めに医療機関を受診したほうがいい」と助言する。

 (立松真文)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11373767.html?_requesturl=articles%2FDA3S11373767.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11373767